日が暮れだす午後4時、集会所の前に何台もの子ども用の自転車が並び、子どもたちが今か今かと扉が開くのを待っています。早くして早くしてとせがまれながら鍵を開けるとみんな勢いよく部屋に飛び込み名前を書くノートの前に並びます。名前を書くとすぐに、2階の畳の部屋で鬼ごっこや追いかけっこをしたり、机を並び替えて卓球をしたり、自分の携帯ゲームをやりだしたりとみんな思い思いに好きなことをやりだします。

ここは3年前から保護者や社会福祉士の仲間を募って始めた子どもの居場所。誰でも遊びに来て何をして過ごしてもよいという自由な場所です。毎週木曜日、毎回40人前後の子どもたちが遊びに来ています。小学生の放課後過ごす場所と言えば、友達の家や、校庭、公園などですね。児童館や学童保育に行っている子どもたちもいます。

この場所が他と違うのは午後4時から7時と夕方の時間帯に開いているということ、必ず手作りのおやつや軽食を出しているということです。通常小学生は冬の時間帯は午後4時30分、夏場でも6時には帰宅することが学校での約束ごとになっています。しかし夕方の時間、中には夜遅くまで子どもだけですごしている場合もあります。また近年「子どもの貧困」が問題視されていますが、実際にカップラーメンやコンビニ弁当ばかりの夕食をとる子どもいるのです。

この居場所では様々な子どもたちに出会います。学校には行けないけれどここには遊びに来ることができて元気に跳ね回っている子ども、特別支援学級に通っている子ども、外国から呼び寄せられて日本語がまだ十分話せない子ども、これらの子たちが学年も違う、学校も違う子どもたちに混ざって自分の居場所を見つけて過ごしています。

子どもたちと接する中で見過ごすことのできない状況の子どもたちもいました。ある子は学生ボランティアに「昨日はご飯を食べさせてもらえなかった」ともらしていました。またある子は焼きそばなどのおやつが余ると「持ってかえっていい?」ときいていつも持って帰っていたのですが、実はひとり親家庭の子どもでお母さんは入退院を繰り返していたのです。

ある日衝撃的な出会いがありました。おやつの手作りパンを子どもに配っていると、そのパンを持って外に出ていこうとする子がいたので「どうするの」と尋ねると「公園にホームレスのお兄さんがいるのであげるんだ」というのです。ついて行ってみるとそこにはネットカフェや公園のトイレに寝泊まりする18歳の男子が本当にいたのです。

これまでの様々な子どもたちの出会いをきっかけに、子ども食堂、不登校の子ども、家庭環境が厳しい子どもたちの居場所、勉強が嫌いな子たちの勉強会を開設しました。居場所でおやつを作ったり、子ども食堂、勉強会などの取り組みによって「子どもの貧困」を解決できるわけではありません。これらは地域の大人、大学生によって運営されています。このような活動に取り組む大人たち自身が、子どもの貧困を知ることで子どもを見守り支え孤立しないように子どもと大人とがつながっていくこと、さらに子ども自身が育つ中で「自己責任」ではなく社会を変える必要性を認識すること。つまり関係性と社会変革の意識づくりにより貧困問題を解決できるのではないかと想定し日々取り組んでいるのです。

特定非営利活動法人親子ぐるみ支援ネットワーク 理事
おひさまネットワーク代表 社会福祉士 福本麻紀